絢爛たるグランドセーヌ
こちらの作品は、現代を舞台に、クラシックバレエを題材としたスポーツ漫画です。
主人公が女性で、クラシックバレエをするという設定なのに、少女漫画誌ではなく少年漫画誌で連載されている珍しい作品です。
簡単なあらすじとしては、小学生の少女奏(かなで)が、マンションの隣に住むお姉さん梨沙(りさ)の舞台で踊る姿を見て、クラシックバレエに強く惚れ込み、自分もあんな風に踊りたいとバレエ教室に通い始め、いろいろな壁にぶつかりながらも持ち前のポジティブさや才覚で乗り越えて行く、というものです。
幼い頃に見た人の姿に憧れを持ち、自分もそうなりたい、と願うのはスポーツ漫画の導入としてはありがちですが、リアルでもよくある話ですよね。きっと。
私は小さい頃からあまり運動神経が良い方ではなかったので、テレビでプロのスポーツ選手を見たりしても、スゴイなぁ、と思うだけで、あんな風になりたいとまでは全然思いませんでしたね。
奏のように一つの物事に一心不乱になり、のめり込んでいけるものがあるというのは、うらやましいかもしれません。
さらに同じバレエ教室に通う同年代の親友や、母親のバレエ教室に通い、英才教育を受けているライバルの登場など、その存在が奏の成長を促し、また奏に触発されて彼女らも成長する姿が見られます。
小さな子が見た目だけではなく、中身も成長していくのがわかって、胸が暖かくなります。
主人公の奏が異様にコミュニケーション能力が高いので、他人に物おじせず突っ込んだり、また能天気なためライバルとのやり取りがから回ったりと、見ていて楽しいですね。
とはいえ、1番の見所はやはり奏の笑顔ですね。
理想のダンサーと現実の自分の動きのギャップに苦しんだり、自分だけトゥシューズが履けなくて悩んだりしても、頑張って乗り越えて、最後は笑ってみせる奏の表情は、とても眩しく感じます。
スポーツだけではなく、勉強でも、遊びでも、ゲームでも、難関を突破した時の喜びはきっと、何ものにも替え難い最高な経験になるはず。
ちなみに私はバレエの知識が全然ありませんが、話の流れでちゃんとバレエ用語や作品の説明などもあるので十分楽しめています。
作者がバレエ経験者な上にプロの監修が入っているので、そこも作品のリアルさの演出に一役かっているんでしょう。
後はこの作品、女性主人公で年頃のわりに、恋愛要素がまったくないんですよね。
出てくる男性は登場人物の父親たちか、バレエ教室の人たちがほとんどで、同年代の男子が出てきても、恋愛のれの字もありません(うっすら片想いぐらいですかね)
恋愛模様が好きな人には残念かもしれませんが、私は色恋がないぶん、話のテンポが良くて読みやすいのではないかと思います。
ですが、これは各人の好き好きですね。
まあいろいろと語ってきましたが、結局この漫画は、主人公である奏が夢を追い求める姿に自身を重ねることで、ありし日の自分であったり、今の自分であったり、もしかしたらなれたかもしれない自分を見たりする、または自分の代わりに夢を叶えてくれる奏を応援する、そんな漫画かもしれません。
後は何につけ、スポーツのプロになるには、親の存在とお金の存在は大きいな、と思わされましたね。
興味を持たれた方は是非試し読みでも良いので一読ください。
すでに読んだ事がある方も、またもう1度読み返していただければ嬉しい限りです。
現在コミックスが1巻〜19巻まで発売されており、最新19巻は昨日発売日でした(だから紹介に選びました)
私はこれから19巻を購入して、じっくりと読ませていただきます。
以上で今回の漫画紹介は終わります。
次は、もう完結した作品を紹介しますね。